ビジネスメール実態調査2024

メールを受けたら返信をする

ビジネスメールのプロに質問!

この春大学を卒業し、就職したばかりの新入社員です。入社して1週間ほどしたころ、直属の上司から『この前送ったメールを確認しましたか』と聞かれました。もちろん、ちゃんと確認しましたし、添付されていた資料も読みました。回答をしなければならない内容ではなかったので、返信しなかったのですが、返信したほうがよかったのでしょうか。

花井美代子講師からの回答

企業の採用担当者からのご質問です。学生だけでなく、PCに届いたメールを手元のスマホでも見られるようにしている人が多いので、とても良い質問ですね。また大学の授業では、自分のスマートフォンから企業の採用担当者の方の会社のアドレスへメールする時の注意点を伝えています。

社会人になったばかりの方は、メールに慣れていない方が多いですよね。仕事で使うメール「ビジネスメール」のマナーも知らないことばかりでしょうから、基本的な事から丁寧に確認をしてみましょう。

この方は「自分に対しての質問が書かれたメールであれば、回答をする必要がある」ということは理解していらっしゃいます。
この基本を理解したうえで、注意が必要なのは、返信をするタイミングです。

営業や販売の業務では、お客様からの質問にできるだけ早く答える(返信する)ことで、契約に結び付く可能性が高まります。このような場合は「できるだけ早く返信する」ことが業務上で求められます。
それ以外の業務の方も、1日(24時間)以内の返信を心がけると、よりビジネスメールでのコミュニケーションがスムーズになるでしょう。

すぐに返事ができない場合

一般社団法人日本ビジネスメール協会が行っている『ビジネスメール実態調査2017』 では、7割を超える人が「1日(24時間)以内」に返信がこないと遅いと感じると回答しています。できるだけ早く返信をすることで、相手に「ビジネスパーソンとして信頼できる」という印象を与えられるのです。

しかし、新社会人など仕事に慣れていない方の場合は、相手からの質問に対し自分で答えられることばかりではありません。すぐに上司に確認し返事ができると良いのですが、「上司が不在ですぐに確認ができない」「出張中で帰ってくるのが2日後」という場合に、困った対応をしてしまう方もいます。

例えば、「上司に確認してもらえるまで返信をしない」「上司が帰ってくるまで放っておく」ということをしてしまうと、メールを受信した社員自身がお客様の信頼を損ねるだけではなく、会社の信用にキズが付くことになりかねません。

まずは「メールを受信した」ことだけでもお伝えしましょう。その際に「内容を確認しているため、回答に時間がかかる」ことをお伝えするようにしてください。クッション言葉や疑問形を使って、丁寧にお伝えすると良いですね。

例えば、

ご質問いただきました内容についてただ今確認をしております。明日の夕方5時までにはお返事いたします。お忙しいところ恐縮ですが、お時間をいただけますでしょうか

ご依頼の内容には、社内での決済が必要となります。ただいま、上司の○○が出張中です。今週木曜日には出張から戻る予定ですので、恐れ入りますが木曜日の午後までお待ちいただけますでしょうか。

などと、丁寧にお伝えするとよいでしょう。

社外で返信する場合

また営業など外出の際、社外でメールを確認することがあるかもしれません。その際『取り急ぎメール拝受のご連絡まで」とメールを受け取ったことを伝える方をよく見かけますが、これを「失礼だ」と感じる方もいらっしゃるようです。

もし、「受け取った」ことを伝えるのであれば、『メールを拝見しました』『メールを受け取りました』と一言お伝えすればよいですし、また『取り急ぎ』と伝えるのであれば『取り急ぎメール拝受のご連絡をいたします。なお社に戻り次第確認し、改めてご回答いたします』と、本来すべき内容をお伝えすると良い印象になるでしょう。

相手の立場で考える

さて、質問者の状況を考えてみましょう。「回答しなければいけない内容ではなかったので返事をしなかった」ことに対し、メールを送った上司はどう感じるでしょうか。『ちゃんと読んだだろうか』『あれ、メールが届いていないのかな?』と心配になってしまうかもしれません。ですので、この場合なら

メールを受け取りました。ありがとうございます。添付されている○○について、後ほど確認をいたします。分からないことがあれば、質問させていただきますので、その時はよろしくお願いいたします。

と返信すればいかがでしょうか。「メールをちゃんと受け取っていること」「きちんと添付書類も付いていたこと」がメールの発信者である上司に分かります。また、「分からないことは質問したい」と一言添えることで、熱心さも伝わりますね。メールを受け取った時、返信するのはもちろんですが、返信の仕方、伝え方もしっかりと身につけるようにしましょう。