質問254月に入社した新人です。先日、「こういう時はすぐ電話しろ!」と上司に怒られました。メールで記録を残せ、今の時代は相手の都合を先にメールで確認しろといつも言われているのに、納得できません。私は、どうすれば良かったのでしょうか。

 

池田福美講師からの回答

上司になぜ怒られたのか分からず、納得できない状態なんですね。ご質問から推察すると、おそらく上司や同僚の方などが、発生した問題に対処するため、お客様のフォローに入るなどの状況が発生したのではないでしょうか。そのため、上司も少し厳しい口調で、あなたにアドバイスする形になってしまったのかもしれません。ここでポイントになるのは、「メール」と「電話」を状況に応じて適切に使い分ける工夫ができるかどうかでしょう。一般に、緊急で重要度の高い要件に関する連絡は、メールではなく電話を選択する必要があります。この機会に、主なビジネスコミュニケーションツール4つ「(A)会う/(B)電話/(C)ビジネス文書/(D)メール」の使い分けについて学んでみましょう。「緊急度」と「重要度」で優先順位を考えると、一般的に以下の表のようになります。

「緊急度」と「重要度」を考える

種類 緊急度が高い 緊急度が低い
重要度が高い (A)会う(対面で話す) (C)ビジネス文書
重要度が低い (B)電話(話す) (D)メール

読むタイミングを相手の都合にゆだねてしまうる「メール」というツールは、非常に重要で緊急度が高い仕事で使用する場合、リスクが生じます。この中では一番優先順位が低いですね。もちろん例外はありますが、それぞれのツールを相対的に見ると優先順位が一番高いのは(A)「会う」(対面で話す)でしょう。具体的に、それぞれのツールの用途をあらためて確認してみましょう。(A)「会う」これは「アポイントをとる」というよりもは緊急時に「駆けつける」イメージです。お客様に対してしっかりと誠意を伝えることが求められる場面では、必ず直接会うことが求められます。(B)「電話」はすぐに連絡を取る必要がある場合に使用します。責任の所在を明確にする必要性があるなど、重要性が高い場合は(C)「ビジネス文書」の形をとります。もちろん、(A)~(D)をいくつか併用することもよくありますね。大事なことは、場面に応じてツールを使い分けることです。例えば、以下のようなケースで「連絡はメールで、といつも言われているから」という理由だけで、メールを送ったらどうなるでしょう。

事例(1)間に合わない!

新人のあなたは上司から、「13時に開始するお客様も同席する会議の準備を頼む」と指示されていました。しかし、お昼休憩の時間にランチを食べようとレストランに行ったところ、注文したメニューが出てこなくて、会社に戻る時間が遅くなることが確実になりました。会議の準備が間に合わないかもしれない、と心配になり、準備を頼まれた上司にメールで連絡しました。上司はお客様と一緒にランチをとってから会議に向かう予定ですが、モバイルでメールはいつも確認しているはずだし、自分からのメールを見たら、きっと別の人に頼んでくれるだろう、とあなたは考えました。ところが、上司はそのメールを確認していませんでした。昼食を終えて会社に戻った上司は、何も準備されていないどころか照明もついていない会議室に愕然とし、新人のあなたは、今後このようなことのないように、と厳しく注意されました。

これは幸いにも今では笑い話になっていますが、実話です。ツールの使い分けを間違った分かりやすい事例としてご紹介しました。この新人さんに、電話ではなくメールでの連絡を選択した理由を確認しました。「新人の自分が、ほかの先輩に直接頼むわけにはいかない。他の人たちも昼休みだろう。上司もお客様と一緒だから電話には出られないだろう」このような社内に対しての気遣いから、メールでの連絡を選択したとのことでした。予想外の事態が発生した場合に、何を優先すべきかという「判断基準」や「優先順位」を共有することが、新人教育では大事だとわたしも勉強になりました。

事例(2)電話でお詫びしたからいいでしょ?

新人のあなたは、お客様にご迷惑をお掛けする事態を生じさせてしまいました。あなたは電話ですぐに謝罪し、お客様も納得して下さったため、問題は解決したと考え、対応内容をメールで上司に報告しました。しかし上司からは、「このような場合、担当者レベルでの謝罪ではお客様に失礼だ。責任者である私からもお客様に直接お詫びをする必要がある。今後は、問題が生じた時点で、迅速に報告するように」と厳しく注意されました。

電話ですぐに謝罪した、という判断は間違っていません。しかし、お客様にご迷惑をお掛けした「程度」の軽重を判断するのは、まだまだ経験値が不足している新人さんの場合、難しいのではないでしょうか。困ったことがあったら、自分ひとりの思い込みで判断せず、上司や先輩に判断を仰ぎましょう。事例(2)では、責任者が謝罪に伺う(会う)。その後、ビジネス文書として報告書を提出するという段階が必要な場合があるからです。

推測ですが、ご相談いただいた内容は事例(2)に近かったのではないでしょうか。上司の考える「判断基準」や「優先順位」を、新人のあなたが、しっかりと共有できていなかったことにより、「いったい私はどうしたら良かったの?」と不安な気持ちになってしまったのですよね。でも、安心してください。2つの事例でご紹介したように、新人のうちは失敗するものです。大切なことは、同じ失敗を繰り返さないことです。そのためには「次からはどうすればいいか」「今後はどう考えればいいか」を上司や先輩に確認して、各場面で最適なツールを選択することができるように、心掛けてみてください。

 

回答担当講師

ビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)
一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師 池田福美
宮崎生まれの熊本育ち。熊本大学理学部卒業後、1993年4月に独立系SIである株式会社構造計画研究所に入社。通信系システムや交通系システムの構築に約23年従事後独立。日々の業務の中で、主要なコミュニケーション手段であるメール教育の重要性を強く感じ、一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師の資格を取得。ITの知識、マネジャー経験を活かしたビジネスメールの指導を得意とする。
<資格> 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会シニアファシリテーター