一般社団法人日本ビジネスメール協会は、日本で唯一のビジネスメールの教育者を養成する専門機関です。コミュニケーション、書き方、効率化を指導するプロフェッショナルを育成し認定を行ないます。

長野 裕香(ながの ゆか)

認定講師資格を2013年9月に取得された長野裕香さんに、資格取得のきっかけや講師として活動する際の目標などについてお話を伺いました。奈良県在住の長野さんは、大阪府下の市役所の情報システム部門で約12年に渡り業務を担当した経験をお持ちです。業務上の電子メールの送受信実績は、10万通を超えるとか。ビジネスメールの経験値の高さに加えて3人のお子さんのお母さんでもあり、説得力があり温かな人柄が魅力です。また、文章力にも定評があり、メール教育にかける強い情熱を持っていて、今後の活躍が期待される講師です。

お仕事について

現在のお仕事についてお聞かせください。

現在は、整理収納に関するサービス提供、お片付けのレッスン、資格認定講座、セミナーでの講演業務等を行っています。自分の仕事のスキルアップのために、整理収納について学び始めたのがきっかけです。

そこで気が付いたのが、家庭でも、学校でも誰も「お片づけ」についてきちんと学んでいない・教えてくれないということなんです。子どもたちに「片付けなさい」と言っても、具体的な手順・方法を教えなければできない。だから片付けが苦手な人が多いんです。

確かに整理収納もビジネスメールも理論的に学ぶ機会はなかなかありません。

そうですよね。整理収納に関していえば「片づけなさい」、「きれいにしなさい」の一言で片づけができるんだったら、整理収納サービスなんていらないですよね。私自身が「片づけなきゃ」のストレスで気づかない間に家族に当たっていたという経験から、お母さん向けの整理収納講座を開催して好評を得ています。将来的には、業務の効率化の視点からオフィスの整理収納にも関わっていきたいなと思っています。

そして、学ぶ機会がないのは、整理収納・ビジネスメール両方の共通点。学ぶ機会を提供したいと思って今に至ります。

以前は市役所にお勤めだったそうですが、当時から研修の講師をされていたのでしょうか。

はい。新規採用職員向けや、各部署の情報システム担当者を対象に行っていました。情報セキュリティ対策や新しく導入されるパソコン、ホームページシステム・グループウェアシステムへの移行・手順の案内、操作説明なども行っていました。

地方自治体の情報セキュリティに関する取り組みは、どのようなものでしたか。

セキュリティポリシーが存在し、技術的・物理的に厳格に運用されています。とはいっても、一般の企業と変わらないと思います。最終的には、職員一人一人の意識の高さが必要になるというところも同じ。いわゆる、人的セキュリティにあたる部分ですね。私がセキュリティ研修を行う場合には、そこを掘り起こすことを意識していました。

住民からのお問い合わせに対応するメール業務は大変だったのではないでしょうか。

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いろいろありましたね。

約10年前は、問い合わせ用のメールアドレスは1つだったんです。だから、すべてのメールをまず私が見ていました。

市役所や各部署への要望・苦情はもちろん、証明書発行関連の手続きの詳細を知りたい、税金に関する相談、子育て、防犯、環境、福祉など市役所の業務全般に関すること、本当に多種多様でした。

また、携帯アドレスから送信された、たった1行のメールで「今、学校で研究をしているので○○関連の計画書を全部送ってください」とか「市役所で働くにはどうしたらいいですか」という問い合わせは困りましたね。

詳細どころか、お名前・連絡先すら書かれていない。的確に案内どころか、こちらの返信がきちんと到着しているかすら確認が難しいこともありました。

もし、切実に助けを求めているのだとしたら、きちんとメールを書くというスキルがないと、その人たちは助けてもらえる機会を損失していることになります。

そうだと思います。一言しか書かれていない中で、本当に意図されていることをくみ取るのはとても難しいんです。もう少し詳細を書いてくだされば、もっと的確にご案内できたのかもしれません。

認定講師を目指したきっかけ

長野さんは、そういったメールを受信していたから教える立場になることに意識が向かっていき、日本ビジネスメール協会認定講師の資格取得を決意されたのでしょうか。

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資格取得を決意した理由は2点あります。

1点目は自分がメールを書くことに苦労したので、もっとビジネスメールについて深く学びたいという気持ちですね。

さっきの苦情メール・1行メールに対してもそうですが、丁寧なつもりの返信メールを書いたけど、これが正しいのかはわからない。

Aさんのメールにはこう書いたけれど、Bさんのメールはこの書き方をした。これでいいんだろうかと出口のない迷路をさまよっている感じが不安だったのです。

2点目は、ビジネスメールの書き方についてアドバイスを求められたときに自信を持って答えたかったからです。

ビジネスメールの書き方やマナーについて自信を持って指導できるという方は、一般的に少ないと思います

私自身、ビジネスメールの送受信実績がこれだけあっても、メールのマナーについて「絶対にその書き方で大丈夫」と言い切ることはできませんでした。だけど、情報システム部門で勤務年数を重ねているわけですから、長野さんだったら知っているだろうと質問がくるんです。なのに、はっきり答えられない。そんなジレンマが積もりました。

それは、ストレスがたまりますね。

「○○部長様っていう表現はメールだったら問題ないのかな」とか「初対面の人に添付ファイルって3MB送っても失礼じゃないですか」とか。しかも、周囲の人と散々話をした最後に「長野さんに聞いてみよう」、「知っていたらでいいから教えて」ということは、正しく回答することも自分の仕事なんだと思ったんです。

仕事なら「大丈夫だと『思います』」ではいけないなと思って。これが、ビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)を受けたきっかけですね。

ベーシック編を受講されてから、そのストレスは解消されましたか。

はい!しかも私、ベーシック編を3度受講しているんですよ。何を聞かれても自信をもって答えられるようになりました。「この書き方なら日本中、誰に送っても大丈夫です」って。

ただ、ショックだったのは、自分のメールの文章が受講後も一文が長くて読みづらいメールだったこと。一般社団法人日本ビジネスメール協会の認定講師養成講座の中で指摘を受けてびっくりしました。講師の平野さんに添削してもらって、自分のメールの癖がようやく分かりました。自分のメールは「完璧」って思っていたのでショックでした。知識として頭で理解していることと、実際にできることが違うということを身をもって知った瞬間でした。

たくさんのビジネスメールをやり取りした経験から、長野さんが「これは改善してほしいな」と考えていることはありますか。

そうですね。ビジネスメールなのに、いまだにビジネス文書の影響を受けているメールもありますよね。わざわざ、たくさんのスペースをいれて署名を右寄せにしたり。そのひと手間に無駄な時間を使っているという意識が必要ですよね。

受信者への配慮はもっとできると思います。たとえば、メールの本文に「添付ファイルをご覧ください」としか書いていなくて、受信者が添付ファイルを開いてみなければ、そのメールの用件が分からないなんてこともありますよね。少し時間をとって学べば、みんながより効率的なメール作成ができると思っています。

受信者側への配慮が不足しているメールが多いということでしょうか。

そうですね。そうしたメールは勤めていたときは、よく見かけました。本文に「添付ファイルをご覧ください」とだけ。あとは、WordとExcelのファイルが2つ添付されていて、Wordの内容はビジネス文書で回答はExcelファイルに記入して返送するといった形式です。

改善案としては、メール本文に業務依頼の内容を書く。すると、添付するのはExcelファイル1つで十分ですよね。もちろん、ビジネス文書形式が必要な場合もあるのですが使い分けは必要です。短い時間かもしれませんが、ファイルを1つ開く・管理するムダな時間が削減できます。

確かにそうですね。ビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)でも、効率化のためには1分、1秒の短縮を意識することを受講生にすすめていますから。

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こんな事例もあります。

国から都道府県宛のメールに2つ添付ファイルが付いている。さらに、都道府県から市町村への連絡の際に、通知文書や説明文が2つ増えて4つになっている。

添付ファイルは並列に並びますし、もちろん毎回、数も体裁も違います。「どのファイルが、どこから、どこ宛に、なぜ発信されたのか」を把握するだけでも時間がかかるんです。

とにかく、熟読する必要があるメールが多かった。でも、よく読んでみたら、そのメールの内容が、そもそも自分の自治体は対象外だったり。関係があるのかどうかすら、判断するまでに何分もかかることもあるんです。

これ、全国の市町村の担当者が同じことをしているはずなんですよね。本文中に説明があれば、どれだけ業務の効率化と時間短縮が図れるんだろうと、よく考えたものです。

熟読しなければならないメールの処理は、時間がかかります。

しかも、返信も遅れがちになるんですよね。パッと見たら難しくて重要そうなことが書いある。時間を確保してじっくり読もうとする。そして、後回しになって処理を忘れたり。多くの人がしてしまっていることなんですけど、本当に非効率ですよね。

特に、1対1のメールではなく、1対多に対して送るメールは、かなり配慮して作成する必要があります。私もよく作成していましたが「分かりやすく書けているか」、「相手への配慮があるかどうか」で、その後の問い合わせの量が全然違うんですよね。読んで理解するまでの時間、その後の問い合わせの時間。送信者側も受信者側も、この時間の積み重ねは大きいと思います。

メールを変えるだけで、日本全国の都道府県や市町村職員の業務が改善される可能性があるということでしょうか。

その可能性はありますね。一般企業でも類似の悩みがあるのではないでしょうか。メールを送る方も何かしらの反応や回答を求めているのであれば、速く分かりやすいレスポンスがあるほうがいいですよね。

どのような目的でメールを送るのかという目的設定に問題がありそうですね。

そうですね。受信した相手がどう感じるのか、回答しやすい内容になっているのか、どう行動してもらいたいのかというところまで、送信者側には考えてメールを作成してもらえるのがベストですよね。

お話を伺う限りでは、ビジネスメールの書き方を学べば大きく業務改善につながりそうです。

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ビジネスメールの基本マナーを学んでいれば、すぐに改善できることも多いと思います。

たとえば、ファイル名の付け方。添付のファイル名に長い法律の名前(○○○○○○○○○法)をそのまま付けていたりすると、受信者には、そのファイルが添付されている意図がパッと見て分からない。

でも、ファイル名の最初に「【通知文】改正案_○○○○○○○○○法」と入っていれば一目瞭然ですよね。

別の事例では、メールを熟読しても、なんだか話のつじつまが合わないなと思っていたら、複数あるはずの添付ファイルが1個足りなかったということもありました。「メール本文には添付ファイル名を記載する」という基本マナーができいれば回避できたトラブルですね。

業務効率化というのは公務員も一般企業も関係なく、みなさん必死に努力されています。でも、ほとんどの人がメール処理に時間がかかっているとは思っていないのが実情です。ビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)で「メールは熟読させるものではない」、「一読で相手が理解できるメールを書く」というフレーズ、私は大切にしています。

メールのやり取りは密室になりがちです。ビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)の中でも話していますが、電話・文書・対面は周囲の目に触れるので問題があれば周りの人が注意してくれるけれど、メールは基本的に1対1の環境で使い指摘されにくいです。

宛名の敬称1つ取っても「こういう風に書くのが正しいんだよ」って教えてもらえないですよね。私は、こういったマナーだけではなくて「その書き方だったら回答がくるのが遅くなるかもしれないよ」とアドバイスしていました。それは、相手に回答を全て丸投げにするような印象のメールだったんです。相手は考えてから返信しないといけないから、すぐに返信が来る確率は低い。希望する回答があるなら、自分が考えつく案を3つ4つ提示する形でメールを作成してみてはと。

とても的確なアドバイスですね。

ありがとうございます。これもビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)にでてくるノウハウですよね。選択肢を提示すれば相手は選ぶだけだから負担が少ない。こんな具体的なアドバイスができるようになったのは、やはり自分がビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)を受講したからなんです。

認定講師となって思うのは、限られた時間の中で、自分が学んだノウハウやたくさんの実際の経験から、一番いいところだけを切り取って受講生の皆さんにお伝えしたいということです。

今後の目標

それでは最後に、今後の方針や目標についてお聞かせいただけますか。

受講生に学んだ内容をしっかり覚えてもらって、自分のスキルにしてもらえるような講師になりたいです。

受講後に「勉強になった」と満足してもらうのは当然で、帰宅してからテキストを横に置いて実践してもらう。日が経過してビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)を受講したことは忘れても、学んだ内容が受講者自身のスキルになっているというのが理想です。

そのために私ができること、伝え方などについて日々試行錯誤しています。

ご自身の経験から、受講生の皆さんにしっかり学んでもらいたいという長野さんの熱い気持ちが伝わってきました。長野さんの熱意の原動力はなんでしょうか。

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私が講師として頑張っていける原動力は「学ぶ機会がないからできない・知っているだけで誰でもできる」ということを自分が身をもって実感していることです。だから「知ってもらえる機会を作れるように」と活動しています。

もう一つは、これまでお世話になった方への感謝と恩返しの気持ちでしょうか。私に、仕事のことだけでなく勉強し続けること、チャレンジすることが素晴らしいことだよと教え、育ててくれた尊敬する先輩や上司がいます。今の私があるのも、そんなみなさんに出会えたからなんです。本当にお世話になってきました。だから「がんばってるな」と思ってもらえるように、精一杯できることをしたいという思いが原動力として常にあるのかもしれません。

ありがとうございました。

(2014年11月インタビュー)



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