資料請求 お問い合わせ

戸田 博之(とだ ひろゆき)

認定講師資格を2012年4月に取得された戸田博之さんに、資格取得のきっかけや講師として活動する際の目標などについてお話を伺いました。戸田さんは、プロ講師として活躍されており、金融・保険業界の知識も豊富で、ビジネス英語やプレゼンテーションのスキルアップ指導プログラムもお持ちです。50名を超える大人数のセミナーでも、全体にしっかり目配りができることや、豊富な事例を持っていることが評価されており、親しみやすい人柄が人気の講師です。

戸田博之プロフィール

お仕事について

現在のお仕事についてお聞かせください。

かつては銀行、投資信託会社や保険会社に勤める普通の会社員でしたが、現在はビジネス英語の講師としての活動が主体となっています。金融関連のセミナー講師や、雑誌連載の執筆も行っています。金融・保険業界で30年以上のキャリアがあり、業界知識が豊富なことが私の強みです。会社員時代は国際部門、海外企業との合弁事業への従事、海外勤務が長かったため、そこで英語力を磨き、さまざまなノウハウを身に着けることができました。その経験が、現在のビジネスに活きていると感じています。

主に講師のお仕事が中心なのですね。

はい。6年ほど前から大学でも週1日教えていますが、企業での英語研修を担当することが多いです。文法のおさらいから、TOEIC対策、英語でのプレゼンテーションなど、内容はいろいろあるのですが、その中でも僕自身が力を入れているのは英文メールの教育です。

たしか、戸田さんとEメールの出会いは、かなり歴史があるのですよね。

プロフィールにも書かせていただいたのですが、30年以上の歴史がありますね。最初にEメールという言葉を聞いたのが1986年~1987年くらいだったかな。わりと早い時期に存在は知っていたことになります。

当時、勤めていた銀行がアメリカの銀行と合弁事業を行っていたのです。その関係でニューヨークに出張した時に、相手の銀行の責任者から「今晩、テニスに連れていってあげるから、その後にご飯を食べましょう」と誘われたんです。そこで、彼女のオフィスに立ち寄ったときにEメールという言葉を初めて聞きました。もうそろそろ出かける時間だなと考えていたら、彼女が「I have to send an email」って言ったんですよ。そのとき”What’ is it?”と聞き返しました。

ただ、実際にEメールを仕事で使い始めたのは1990年代に入ってからです。その頃、勤めていた銀行からニューヨークに派遣されていたのですが、ようやくオフィスにメールのシステムが入りました。だから、Eメールの書き始めは英語からだったんです。

当時、ビジネスメールの書き方を学ぶ研修などはありましたか。

いいえ。ありませんでした。現在、英文ビジネスメール講座の中で教えている内容は、その頃に自分で編み出した方法が基本になっています。「箇条書きを使う」とか「難しい単語を使わず、普段自分が使っている比較的平易な単語を使う」など、ネイティブの書き方を見よう見真似で工夫してきたことを、ある程度体系化したことが役立っています。人に教えるつもりで、そうしてきたわけではないんですが。

ビジネスメールを使い始めて、なにか印象に残った出来事はありましたか。

あるとき、勤め先の銀行のオーストラリア拠点から世界中の拠点あてにクリスマスカードをメールで送った人がいました。その結果、システム全体がフリーズしてしまい、その人はシステム管理者に厳しく注意されていました。当時と現在では、ファイル容量の処理能力が全然違いますから。

ただ、ビジネスメールのマナーや常識に関する研修などがあったわけではないので、多くの人が実務でそうした失敗を繰り返しながら学んでいた時代でしたね。

認定講師を目指したきっかけ

戸田さんが日本ビジネスメール協会認定講師の資格を取得され、教える立場に方向転換されたのは、どのような経緯からなのでしょうか。

DSC078364年ほど前に起業したのですが、やはり自分の強みと社会のニーズを考慮したときに、これからビジネスにメールの知識は必須だと考えました。

これだけ多くの人がメールでコミュニケーションしているのに、共通認識やルールが未だに確立されていない。メールが原因でトラブルも起こっている。

そういうものをしっかり改善したい、そこにニーズがあると思いました。

長期的な視野で資格の取得を検討されていた、ということでしょうか。

偶然そのような流れができました。独立後、自分のセミナーコンテンツを作成して、さまざまなセミナー会社に講師として登壇したいと働きかけたのですが、そのときに採用された初心者向けの英文Eメールライティングを学ぶセミナーは、同じ企業でオープンセミナーとして、もう3年半ぐらい採用されて継続していますね。

その中で、さらに自分の幅を広げて新しいコンテンツを増やそうと考えて、認定講師の資格取得にいたりました。

プログラムの内容について、少しご紹介いただけますか。

メール作成に関してはもちろん、会話や読み書きにも応用できる内容をいろいろ盛り込んでいます。

たとえば、私が考案したスーパーマトリックス法や5W1H法などは、書くだけでなく話すところに応用できるノウハウです。これらの方法で練習を積めば、メールのライティングも確実に速くなります。

戸田さんご自身が、実際に英作文をするときに困っていた点をプログラムに盛り込んでいるのでしょうか。

そうですね。私も、最初に英文でビジネスメールを作成するときには、書き始めはどうしたらよいのだろうかと悩んだことがありました。ビジネス文書やFAX文書などの形式を参考にしてみたり。でも、メールは郵送するビジネスレターとは性質が異なります。

従来のビジネスレターでは、部下が書いたものを上司が添削するなどの社内プロセスができていて、チェック機能が働いている会社が多いと思います。メールは即時性とスピードが求められ、そうしたチェック機能も弱くなってしまう。どちらかというと電話に近いのかなと。

そこが分からない方も多いですね。日本語の「よろしくお願いします」は英語だとどう書けばいいのか分からないという方もいるでしょう。そうした状況を知り、また、ビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)を受講された方からご要望があって英文・ベーシック編ができました。

ビジネスメールコミュニケーション講座英文ビジネスメール講座には共通部分がたくさんありますが、異なる点も多い。日本語で書いたものを英語にそのまま翻訳しても通じません。やはり、文章を書く順番や作法がありますから。共通点を踏まえつつ、違うところもきちんと認識して使い分けられるのがベストですね。

英文・ベーシック編の受講対象者は、どのぐらいのレベル感の方が一番ぴったりくるのでしょうか。

日常業務で、英文メールの作成経験がある程度お持ちの方を対象にしています。全く経験がない人は、問題意識がないためピンと来ないかもしれません。

これは、ビジネスメールコミュニケーション講座でも同じです。経験者は日頃の課題を持ってセミナーに参加されますから、学ぶ価値は大きくなります。書くことに対する自信がない人たち、たとえば、書き始めて半年~1年ぐらいの人が受講されると内容の吸収率が高い気がしますね。

これまでの受講生の反応で、特別に嬉しかったものなどはありますか。

これまでで一番うれしかったのは、受講前にかなり苦手意識を持っていた人から「これなら英文でもメールを書けると思います」、「初めて、書いてみようかなという気持ちになりました」という前向きな言葉を聞けた瞬間ですね。受講後に前向きなコメントをいただけると、やはり講師として嬉しいですよね。

真面目すぎる方が多いので、私はあまり難しく考えすぎないことを強調して指導しています。発想を切り替えて肩の力を少し抜いてもらうと、その方が持ってる英語の力が最大限に発揮され、クオリティを保ったメールが書けるようになります。

最近は、新しいプログラムでの指導も開始されたそうですね。

はい。単発ではなく、2カ月で8回受講していただく連続講座を始めました。3時間の単発セミナーで、コツをつかんでやる気が出た方に、次のステップに進んでもらうためのプログラムです。添削しながら新しい課題を与え、最後にどのぐらい進歩したかをチェックして、終了という流れです。

もう少し詳しくプログラムの内容を教えていただけますか。

DSC07770TOEICで英語力を図る企業は多いのですが、実際はEメールをさらさらっと書ける力が大事なんです。TOEICが高得点でも書けない人はいますから。そこを強化する内容でロールプレイングによるケーススタディーなども行っています。たとえば、受講者に秘書役になってもらい、ボス役のネイティブ講師から口頭で「来週、○○に出張するんだけど、何日から何日まで、何とかホテルで、このぐらいの予算で、予約しといてよ」という指示をします。そして、ホテルへの予約依頼と、それをボスに報告するメールを書いてもらうというようなことをやっています。このように、ヒアリングもスピーキングも鍛えられる総合的なプログラムになっています。

今後の目標

それでは最後に、現在すでに講師として活躍していらっしゃいますが、今後の方針や目標についてお聞かせいただけますか。

ビジネス英語に関して不安を抱えている人に、それを解消していただけるようなセミナーを開催していきたいですね。受講生には「あ、こういう勉強を繰り返していけば自分は上手くなれるな」という感覚を、その場で持っていただけるように心がけて指導しています。受講生自身が、自分の書く力・話す力・読む力を伸ばしていけると感じられるような希望の種を、彼らの心に植えつけたいですね。

自分はもっと上達できるという自己肯定感を持ってもらうということですね。

その通りです。ずっと私が、その受講生を教え続けることができるわけではありませんから。自主的にしっかり書けるようになってもらいたいんです。

多くの人は例文集をほしがります。コピペするから例文が何千もあればそれでいいじゃないかという方もいます。でもね、実際にはそれをパッと使えるわけではありません。探す時間と手間がムダなんです。ビジネスメールコミュニケーション講座の中でも、メールの履歴から類似の文を探すのはムダな時間だとお伝えしています。やはり自律的にメールが書けることが理想ですね。

自律的な人を今後、どんどん育てていくことを目標とされているのですね。

DSC07740はい。そういう人を育てたいですね。自律的でない人は、お手本がなくなると途端に書けなくなる。その人の成長が止まるんです。それはとても、もったいないことです。

英文を読むことや、聞くことも全て関連性がありますが、現在、私が用意しているプログラム上では書くことをメインにしています。将来的には、さらに総合的な指導を行う予定ですが、現在は私が一番得意なところを軸にして、自律的な人を育てるプログラムを広げてゆくことが目標です。

ありがとうございました

(2014年12月インタビュー)